社会人院生記

おっさんの社会人大学院生日記です。

変革は難しい

 経営大学院の行事もほぼ終わり、後は修了式を待つばかり。ゼミの仲間とパーティーなども予定されているが、あと一か月もしないうちに、全てが終わる。

 この間に、復習や読んでおきたい本に目を通そうと思っている。全ては無理なので、自分の中で勉強しておきたいと考えていたマーケティングファイナンスを重点に復習するつもりだ。

 ここまで来ると、中小企業の人を中心に、ちょっとした相談を持ちかけてくる。人手不足、物価高騰、大企業に資金が集中していく状況、海外勢との競合、社会全体での先行き不透明さ、などなど。中小を取り巻く情勢は非常に厳しい。特に人手不足と諸物価の値上がりは、中小の経営を苦しめている。ただ、日本企業の大半は中小であり、従業員数も7割が中小だ。中小の復活無くして日本の復活はない。

 とはいうものの、話を聞いていると、色々と難しい。変革が必要なことは理解しているが、やはり現状の延長に未来を思い描いてしまう、そんな様子が見て取れる。さらに、中小では人数が少なく、経営陣と従業員の距離が近いこともあり、従業員が変革に拒否感を示せば、まず変革は実現できない。中小の経営者と話をしていると、ほぼここで行き詰っていることが分かる。

 色んな人と話したが、経営者も従業員も、現状の延長に未来を思い描き、今までやってきたことにこだわり、そして時間や人手の不足を理由に変革にNoを付けたがる。

 とある中小の経営者と話をした。コロナで経営が逼迫し、色んな人に相談していたそうだ。レベルの高い人ほど、新しい考え方ややり方を勧めてくるそうだが、従業員からの抵抗が強いそうだ。かなりしっかりとした市場調査に基づいてニーズを割り出し、組織の在り方も含めた新しい体制やサービスを提案されるが、役員も従業員も、今までやってきたことを否定された気分になり、また、新しいことへの不安もあり、結局、変革は拒否されるとか。

 結局、現状の延長になってしまう。例えば、売上が落ちていることへの対策として、従業員に意見を募っても「営業の強化」という、現状の延長の案ばかりが出てくるとか。新しいことを提案しても、ああだこうだと理由をつけて、否定されてしまう。データを示しても、「データで現実は動かない、現場が一番よくわかっている」とされてしまう。

 勿論、現場が分かっている、という言葉も正論だが、データが示している内容を否定する根拠を挙げられないことが殆どだという。にも関わらず、拒否される。その経営者は「このままではジリ貧」というが、他の人からは「経営者が、ちゃんと資金を調達してこい」としか言われない。

 人は変革に対しては、拒否したくなるし、リスクを採ることには不安を感じるものだ。リスクを採る、とは、何も金関係だけでなく、組織ややり方、商品やサービスを変えることで、上手くいかなくなる可能性も含まれる。多くの経営層が言うように、リスクを採らなければ変革を実行することは難しいし、そうしなければ、先はない。

 そんなことを感じる2週間だった。