社会人院生記

おっさんの社会人大学院生日記です。

短期主義

 色んな事例を読んだりしていると、よく指摘される通り、日本人は「短期主義」なのだなあ、と感じる。これは、実際に自社についても、他社を見ていても感じる。

 新しい施策を提案しても、1~2年で充分な利益を生むという見込みが無ければ受け入れられなかった。上層部からは、常に収益化のプレッシャーをかけられていた。

 こういった話はデジタル化の話でもよく聞く。特に、中小企業ほどこういった話は多い。中小では、運転資金の問題があるから余計だが、大企業でも時々聞く。デジタル化することで、直接的に利益を生むことが要求されるため、現場が躊躇する。

 IT企業に話を聞くと、デジタル化が利益を生むまでの期間は、企業によって結構異なるが、長いのが普通だという。私が、様々な小売やメーカーにサービスを納入している、あるIT企業の幹部に話を聞いたとき、この短期主義がネックになると、散々聞かされた。デジタル化の利点は中長期で現れるもので、短期で求めると施策がチグハグになり、現場が混乱するだけだ、という。
 
 短期主義は、単純化も招きやすい。デジタル化すれば利益に直結、といった具合だ。だが、現代の社会では、組織の大小に関わらず、見えないところで物事は複雑に絡み合ってくる。経営目標やKPIは複雑に絡み合っており、単一の施策や手法で収益が好転する可能性は低い。教育や人事、マーケティングや全体戦略が複雑に絡む。財務面でも、数字で表せる部分だけでなく、決算書に現れない非財務関連資産なども統合して考えなければならない。

 デジタル化は、内部においてはそれらの動きを円滑にし、外部に対しては情報伝達の多様化とデータの収集、といったことについての成果が期待されるものだ。当たり前の話だが、デジタル化が問題の解決に直結するわけではない。短期主義が短絡を招くと、当たり前のことが欠落してくる。

 いや、そんな稚拙な間違いを、大学を卒業している大人がするわけではない、という人もいたが、色んな企業の人と話をしていると、この点を懸念する話を結構、聞いた。意外と、身近なところで気づかないうちにそういった事態が進行しているのかもしれない。自分は短期主義に陥っていないだろうか? ちょっと自分のことが心配になる。