社会人院生記

おっさんの社会人大学院生日記です。

人材

 だんだんと年末が近づいてきた。コスト上昇や人手不足、24年問題などなど、日本経済を取り巻く環境は厳しいのかもしれない。特に中小からは悲鳴も聞こえる。勉強している身としては、色々と心配をしてしまう。

 元々日本の中小は足腰が弱い企業が多かった。リーマンショック後の厳しい状況でさらに弱くなり、その後、ようやく日本の中小も復活の兆しがあるのかな、と思った矢先にコロナ禍が来た。コロナ禍だからこそ活躍できた中小もあることはあるが、多くは厳しい目に遭ったようだ。私の職場も中小だが、やはり間接的だが、強い影響を受けている。

 特にコスト上昇は痛い。大半のコストが上がっているので、身動きが取れなくなっている。賃上げを検討している企業でも、コスト上昇が足枷だ。賃上げを表明していても、雀の涙ほどのケースも多い。
 下請け企業の場合、下請法による保護があるのでまだ何とかなる。それでも発注元と揉めるケースもある。値上げ要素に対する認識のずれもあるが、発注元にとっては、各下請けの値上げ要請を受け付けると商品単価が大きく上がってしまい、結局売れないということになるからだが、8月14日の東洋経済オンラインに掲載されたが、中小側がコストを正確に見積もれていないなどの問題もある。対応したくても、そういった質を持った人材を、中小では簡単に確保できない。

 何回か書いたような気もするが、日本では技術系では高レベルの教育を受けた人材がそれなりにいるが、経営系では少ないという問題がある。文系では、高いレベルの教育を受けて実務に従事するといった人は、弁護士などの独占資格を取得してその業務に従事することが多いが、全体からすると人数は多くない。高い知見を持った普通の労働者が少ないのだ。その少ない人材は、大手に持っていかれ、中小では余り見かけない。結局、大手に従属するしか手がなくなる。

 だからこそ、中小も含めて高いレベルの人材を増やす必要だ。特に個別の事業に関する専門知識だけでなく、経営などについての汎用的な高い知見を持った人間が必要だと感じる。増えなければいきわたらない。

 その為には、中小の足腰強化が必要だ。第一義的には中小の責任だろうが、社会全体の問題だとも感じる。中小の振興が無ければ日本経済の復活もあり得ないだろうから、中小自身がまずレベルアップすべきだが、そもそも高レベル教育が行きわたっているとは言えない日本では難しいとも感じる。だからこそ、社会全体で中小をサポートする必要もあろう。
 大企業には、何も金や人を出せとは言わないが、一定のアドバイスなども欲しいところだ。もっとも日本の大企業も、そろそろその余裕がなくなってきたところもあるようだが、多少のことは欲しいところだ。
 地域によっては、中小向けの教育講座などを開いているところもあるが、良質でも、きめ細かいとは言えない講座が多い。もっときめ細かい講座体系にはしないのか、と自治体の職員と話したことはあるが、予算の問題だけでなく、それだけの質をもった講師を確保することが難しいという。

 ハローワークの講座はある程度、整備されているが、最新の知見を教える講座は少ない。これも聞いたことがあるが、高いレベルの受講生が少ないということもあるが、やはり高いレベルの講師を確保することが難しいからだと言っていた。
 
 こうしてみると、日本全体で高いレベルの人材が、確保しにくくなっていることが分かる。

 教育への投資が、長い目で見た社会整備のために必要なんだろうな。