社会人院生記

おっさんの社会人大学院生日記です。

どんな人がいるのか?

 社会人院生になって、周囲から聞かれることの一つに「どんな人が来ているの?」がある。これは結構聞かれた。勿論、大学院の種類によるが、専門職課程の経営大学院、つまりMBA課程には、思ったより様々な人がいる。

 アメリカでMBAを取得した人に聞くと、大学を出てから数年ほど社会人経験を積んだ30歳前後の人が多いという。日本では、年齢はもっとばらついているが、結構、年齢を重ねた人も多い。MBAを取得してキャリアをスタートしよう、というよりも、キャリアを重ねて問題意識を醸成した人が来るからだろう。40代以上が多いビジネススクールも結構ある。私の同期には60代の経営者もいる。子会社の取締役クラスもいる。

 私の大学院は、働きながら来るのが基本だ。そして、7割ぐらいは大企業の従業員だ。やはり、大企業の従業員の方が優秀で豊富な経験を積んだ人間が多いのは、見ていれば実感する。修士課程に在籍する間は、残業をさせないとか、週のうち1~2日は時短勤務にするなどといった配慮をする大企業もある。中小の私には羨ましい限りだ。また、大企業であれば、社内にMBAが多く在籍しているので、彼らからアドバイスを受ける時間を申請できる企業もあるとか。

 3割くらいは、中小企業の人間だが、その内の多くは経営層か、役員予備軍だ。勿論、彼らの殆どは50歳以上。経験豊富な彼らの話を聞くのは楽しい。

 これまでも何度か、中小企業とMBAの話を書いてきた。これは、私が中小の従業員だからだが、残念ながら中小の従業員がビジネススクールに進学する例は少ないようだ。だから、中小の感覚で議論に参加しても、周囲には感覚が伝わらないことが多いし、中小の実態の話をしても、実感が湧かないようで、しーんとしてしまう。
 これまでも書いてきたが、中小企業では、大企業のように進学に対する配慮がなされるケースは殆どない。経営者が通うには問題はないが、中小の従業員が進学するのは大変だ。中には、会社の人達には内緒で通う人もいる。中小では、MBAなどは嫌われることも多いからだ。あくまでも、自分の目先の仕事に役立てるために通っている人が多い。ブラックに近い職場で、何とか胡麻化しながら勉強しに来ている人もいる。中小の従業員は、授業に参加するだけでも一苦労する。
 中小の人は、自分の仕事の現状を改良したいと考えていたり、また、大企業に比べて、余り良くない状況に置かれているところから脱出したいと思っていることが多い。日本のMBA課程では、転職のために学位を取得しようと考える人は少ないと言われるが、中小の従業員にはそう考えるメンバーが結構いる。

 男女の比率は、圧倒的に男性が多いが、女性が珍しいというわけでもない。女性は結構意欲的な人が多い印象だ。同期に限って言えば、女性で60代はいない。50代以下が全てで、30代が殆どだ。

 MBAというと「前へ!前へ!」という性格の持ち主が多いように思われるが、意外とそうでもない。むしろ、大人な人が多い印象だ。他人を傷つけるようなことをいう人はあまりいないし、それどころか、議論の際もメンバーの調整をしっかりとできる人が多い。これは、社会人を長くやって、ビジネススクールに進学しようと考えるような人だからだろうと思っている。一般的な社会人の集まりよりも、民度は高い。

 業界は様々だが、意外だったのは医療関係者が結構いることだ。彼らにとっては珍しいことではないそうだが、私はその発想が無かったので、医療関係者と机を並べるのは新鮮だ。

 見聞きしたことを並べただけだが、社会人院生の特性が何となくわかると思う。