社会人院生記

おっさんの社会人大学院生日記です。

どんな学部卒が有利?

 色んな人に聞かれるのだが、経営大学院に入るにあたって、どんな学部卒が有利なのか? という話がある。周囲には、様々な学部を出た人たちがいるが、誰が有利なのか、興味を持って観察してきた。

 社会人として経営大学院に行くのであれば、あまり関係ない、という印象だ。学部卒でそのまま大学院に上がるのであれば、経営・商学系の学部が有利だろうが、社会人を一定年数以上、やってからの入学であれば、特に関係はなさそうだ。むしろ、社会人としてどんな仕事をしてきたのか、の方が、勉強を左右する。

 卒業学部は、少しだけは関係しそうだ。ビジネススクールによっては、法務や経済学の授業を開講しているところもある。そのような授業では、やはり法学部や経済学部を卒業している方が有利。それは間違いない。法学や経済学を直接活かした仕事をしてきた人は、ビジネススクールでは少ないので、そのような学部を出た人間の方が当然にアドバンテージが生じる。これは仕方がない。

 ならば、経営・商学系の学部を出た人の方が、ビジネススクールでは有利になりそうだ、といった声が聞こえてきそうだが、周囲で見ている限り、そうでもない。
 周囲では、確かに経営・商学系を出た人もいるが、法学部系、経済系、人文系、理工系、医療・医学系と様々な学部を卒業した人たちが机を並べている。いないのは、数学や理論物理学を専攻した人達くらい。

 私が意外だったのは、理工系が多いこと。経営学は社会科学という思い込みがあったので、理系は珍しいと思っていたが、IT系を中心に、理工系卒も多い。社会でプログラミングやシステムの構築・運用に携わっている内に、経営や、それらを取り巻く諸問題の勉強の必要性を感じる人も多いようだ。彼らは、そういった仕事をする中で、経理の基礎なども勉強しており、ビジネススクールで特に不利になることはなさそうだ。
 医療・医学系もそこそこいる。病院との経営が厳しいところから問題意識を持つことが多いそうだが、地域社会での医療展開の方法などに意識を持つ人もいる。

 その他色々だが、議論をしていて、卒業学部が関係するとはどうしても思えない。やはり、仕事の経験だ。マーケティングであれば、その仕事をしてきた人の方が理解は深いし、ファイナンスであれば、財務や経営企画を経験した方が有利だ。単純労働でもない限り、何らかの形で自社・自組織の経営に関わってきているはずで、そのような人達を相手に議論をするとなると、高いレベルで直接的にその仕事をした人でなければ、有利にはなり難い。

 学部で経営学を学んだとしても、社会人経験が無いうちは、実感は伴いにくいが、社会人になってから仕事上で勉強した方が臨場感を伴った理解が得られやすい。教授の話が頭に入りやすいし、的を得た質問を放ちやすい。だから社会人としてどういった経験をどの業界でどのくらい積んだのか、が重要となり、ビジネススクールでの学びの濃さに繋がる。周囲を見ていても、やはりそう感じる。

 一定以上のインテリジェンスを必要とする仕事でも、こういった内容に直接携わって来なかった人もいる。私もそうだ。マーケティングも経営企画もファイナンスも法務も人事もやったことはない。私は専門職だからだ。それでも、勉強の必要性を感じたから進学したのだが、議論などでは苦労している。やはり、経営学の学びでは、仕事経験が重要なのだ。

 卒業学部は、大して関係ないと書いたが、むしろ、多様な学部を卒業したメンバーが交わることで、より多様な学びに繋がるのだろう。ビジネススクールが面白いところの一つだ。