社会人院生記

おっさんの社会人大学院生日記です。

進学動機5

 2020年の春、数か月で収まると思えたコロナ禍は、ご存じの通り酷い状況となった。社会の流れに対応するのが遅い自社でも、リモートワークが認められるようになった。私の職種では機密情報を扱うことは殆どないので、名刺等の外部の個人情報の管理を除いて、出社の必要性はなかった。

 外部との接触のほぼ全てがオンラインに切り替わった。ここで知ったのだが、私が接触する大手企業の大半は、東日本大震災の後からオンライン体制の整備、実験、練習を積んでいたのだ。オンライン化にアタフタした自社とは大きな違いがあることを実感した。実際に、自社ではPCが苦手な人は出社していた。

 コロナ禍では市場や社会の在り方が急速に変化する様子を目にした。オンラインで話すマーケター達は強烈に実感しているようで、彼らからもたらされる社会環境の情報もそれを示していた。
 以前にも書いたが、私は社会の流れに敏感な業界を担当していた。この業界では、いつか社会変化の流れが加速する局面に備えてきたのだが、それでも追いつききれないほどの急激な変化だ。日々流れてくる情報に驚くばかりだった。ある企業の役員は、通常なら5年かかる変化が、コロナ禍では1年未満で進んでしまう、と言った。

 この変化はコロナ禍特有のものかとも思ったが、どうもそうではないらしい。以前から進みつつあった変化の流れが、コロナ禍で一気に加速したようだった。オンラインでやり取りする人達の意見も、ほぼそのようだった。
 つまり変化は以前からあったのだが、加速しただけだ。以前から準備し、人材の質を高めてきた組織(営利・非営利を問わず)が何とか耐えられる様子を目の当たりにした。また、個人レベルでも知的レベルや議論、その他の質を向上させてきた人が生き残り、そうでない人が急速に取り残されていく状況をあちらこちらで目にした。

 こういった在り方に異を唱えたい人も多いだろう。私も、単純に変化すれば良いとは思わないが、事実としてこういう状況が生じている。自分や周囲を守り、社会に貢献できる能力を身に着ける必要性を痛感した。そして、今の自分にはその力が足りないことも感じていた。

 進学を決意するのは自然な流れだった。