社会人院生記

おっさんの社会人大学院生日記です。

進学動機4

 資格等についてかなり調べ、資格取得者の実際も、仕事を通じて情報を集めた。中小企業診断士は確かに人気の資格だったが、大半の受験者は社内で知見を認めてもらうためだけに受験を決意していた。社内レースでも、大きく有利になることは少ないようだった。

 この資格は広く通用するのだろうかという疑問もあった。中小企業診断士の英語表記は「Registered Management Consultant」だが、資格取得者の多くはそれを知らない。それほど世界では通用しない資格なのかもしれない。名刺に「中小企業診断士」と刷り込まれている人と話をしたが「知識の羅列だけ」とか「大企業では社内で知見を若干証明するだけ。それ以上ではない」とか「世界では通用しない」といった声をよく聞いた。国内での転職時の知見証明や独立時に使う資格なのだろう。

 ある大企業の人事担当者は「中小企業診断士ビジネススクールでは、後者ではケースメソッドや討論を多くこなすといった違いがある」と話す。

 グローバル化の様々な問題が指摘される中、その人は「世界共通のビジネス概念を身に着け、他者と議論を積んだ人」が求められるという。その流れの中では「試験に受かるだけでは評価できない」と語る。

 また、簿記の試験についても「1級をとったとしても、大きな評価ではない」そうだ。簿記はあくまでも会計技術の試験だ。会計技術の結果として出来上がった財務諸表を基にどう判断するかの試験ではない。もちろん簿記ができた方がより分かるのだろうが「それだけでは評価を高くすることはできない」とも言われた。

 また、経理職では資格よりも実務経験を重視する傾向があるとも言われた。

 これはショックだった。大学院に通うより、かなり安い費用で取得できる資格ということが魅力だったのだが。今でも中小企業診断士の資格には魅力は感じているが、聞いた話は上記のような内容が多かったのだ。

 そんな時にある大企業の取締役と会った。海外の超一流大学院でMBAを取得。ある企業で高い評価を得て、現在の企業に引き抜かれたのだ。
 その人とお茶を飲みながら話をした。「みんながMBAを取得する必要はない」としつつも、世界共通のビジネス概念を身に着けるだけでなく、忙しい中でも自己管理能力を高めながら連日レポートを書き、優秀な周囲と議論を重ねていくという経験を2年間、続けたことが今の実力を養成する下地になっている、といった話を聞いた。こういった能力こそが、加速化する変化の流れを見極め、対応するために必要だと。国内の大学院も発展しつつあるから「あなたも通ってみては」と勧められた。

 これは大きな動機となった。そこにコロナ禍が来た。